○熊野市議会基本条例

平成29年12月21日

条例第17号

目次

前文

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 議会及び議員の活動原則(第3条~第6条)

第3章 市民と議会との関係(第7条~第9条)

第4章 議会と市長等との関係(第10条~第13条)

第5章 議会及び事務局の体制(第14条~第17条)

第6章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第18条~第21条)

第7章 議会基本条例の評価及び見直し(第22条)

附則

地方分権による地方自治体の自主裁量と責任の範囲が拡大する中、平成17年11月の市町合併によって熊野市の市域はより広大となり、市政における熊野市議会(以下「議会」という。)の役割は一層大きくなった。

議会は、このような状況において、責任ある意思決定機関として、より一層市民の負託に応えるため、議員相互の議論を深めることによる合意形成を図り、市民に対し開かれた議会を目指すこととした。

その議会改革の流れの中で、市長と共に市政を担う二元代表制の下、市民と情報及び課題の共有を図ること、市政運営が適正に行われるよう監視及び調査機能を強化すること、市政の水準向上を図るための政策及び立案の提言を積極的に行うこと、責任ある市議会運営のため議員自身の資質向上を図ること、及び良識ある議員としての活動規範を定めることを確認した。

ここに議会は、その使命を達成するため、主権者である市民の代表機関であることを常に自覚し、公正性及び透明性を確保するとともに、市民の権利を守り福利の増進を図るため、よりよいまちづくりに取り組むことを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、市政における議会及び議員の活動原則を定め、よりよい政策を実現するために必要な議会の基本事項とすることにより、市政の発展に寄与することを目的とする。

(基本理念)

第2条 議会は、前条の目的を達成するため、次に掲げる基本理念を定める。

(1) 市民の代表機関として開かれた議会を通じて公正性及び透明性を確保し、市民への説明責任を果たすとともに、市民と情報を共有し、市民の声を市政に反映させる。

(2) 二元代表制の下、市政の一翼を担う議事機関としての役割を果たすため、市長その他の執行機関の長(以下「市長等」という。)の執行を議決権、調査、検査、監査請求等の権限により監視及び評価し、政策提言を行うとともに政策立案に努める。

(3) 主権者である市民に選ばれた、議決事項を決定する合議制の機関であることの責任を自覚し、その役割を果たす。

第2章 議会及び議員の活動原則

(議会の活動及び運営原則)

第3条 議会は、前条の基本理念を踏まえ、次に掲げる原則に基づき活動及び運営を行わなければならない。

(1) 公正性及び透明性を確保し、市民に信頼される議会を目指すこと。

(2) 主権者である市民に選ばれた合議制の機関であることを自覚し、市長等の市政運営を監視すること。

(3) 言論の府であることを認識し、議員相互間の活発な討議を尽くして合意形成に努めること。

(4) 市民の多様な意見を的確に把握し、市政に反映できるよう政策提言及び政策立案に努めるとともに、国又は県への意見書等の提出に努めること。

(議員の責務及び活動原則)

第4条 議員は、市民からの負託を自覚するとともに、資質を高める不断の研さんに努め、公正かつ誠実な活動を通して、市民の代表者としての責任を果たすことを責務とし、次に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 市民の多様な意見を的確に把握すること。

(2) 市政に関する調査研究に積極的に取り組むこと。

(3) 議員間の自由討議を積極的に行うこと。

(議会の合意形成)

第5条 議会は、合議制の機関であることを基本に、自由な討議を重ね合意形成に努める。

2 議長及び委員長は、公平かつ中立な立場から議員間の自由な討議を重視した運営に努める。

3 議会は、議長等の選出に当たっては、市民に対する透明性を確保する。

(会派)

第6条 議員は、政策を中心として同じ理念及び志を有する議員で構成する会派を結成することができる。

2 会派は、政策決定、政策立案、政策提言等において意思を表明することができる。

第3章 市民と議会との関係

(市民参加)

第7条 議会は、市民が主役の理念に基づき、意見交換の場として市民参加の多様な機会を設ける。

2 議会は、参考人制度、公聴会制度及び専門的知識を有する者の参加制度を活用し、専門的又は政策的識見を議会の審議等に反映させるよう努める。

3 議会は、市民からの請願及び陳情を積極的に受け入れ、その審査においては必要に応じ当該請願者及び陳情者の意見を聴くものとする。

(情報公開)

第8条 議会は、全ての会議を公開することを原則とし、インターネット等の積極的な活用を図る。

(広報広聴)

第9条 議会は、ホームページ等情報通信技術、メディア等多様な広報手段を活用した議会広報活動の充実を図るとともに、市民からの要望及び意見の把握に努める。

2 議会は、必要に応じ議会の審議内容及び過程を市民に説明するとともに、市民との政策課題の意見交換の場として懇談会等の開催に努める。

3 前項の懇談会等に関し必要な事項は、別に定める。

第4章 議会と市長等との関係

(市長等との議論)

第10条 議会は、議会審議において議員と市長等との緊張感の保持に努めなければならない。

2 本会議における市長等に対する質疑、質問等については、論点及び課題を明確にし議論を行う。

(議会審議における論点情報の形成)

第11条 議会は、市長等が提案及び説明する重要施策について深く審議を行うため、市長等に対し次に掲げる事項について明らかにするよう求めることができる。

(1) 政策立案の背景及び提案に至るまでの経緯

(2) 類似する他の自治体の施策との比較検討内容

(3) 総合計画との整合性

(4) 財源措置

(5) 将来にわたる経費計算等

(6) 市民参加の実施及びその有無

2 議会は、予算及び決算の審査に当たっては、前項の規定に準じて、市長等に対し分かりやすい施策別又は事業別の資料の提出を求めることができる。

(議決事件の追加)

第12条 議会は、必要に応じて地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第2項の規定に基づき議決事件を追加することができる。

2 議会は、追加した議決事件については、政策立案段階での報告を市長等に求めることができる。

3 議決事件の追加等に関し必要な事項は、別に条例で定める。

(災害時の対応)

第13条 議会は、災害等によって市民の生命財産に不測の事態が生じたとき、及びそれが予測されるときは、市長等に情報の共有を求め、連携した対応に努める。

2 議会は、災害等の発生に備えるため、平時から地域の状況について情報の把握に努めるとともに、市長等との情報の共有に努める。

3 議会は、大規模災害等が発生したときは、別に定めるところにより、迅速かつ適切に行動するものとする。

第5章 議会及び事務局の体制

(議員研修)

第14条 議会は、議員の審査、政策提言等の能力向上及び資質を向上させるため、議員研修の充実を図る。

(議場環境)

第15条 議会は、議会の審査、政策提言等の充実のため、高度な情報通信技術の導入を目指す。

(議会事務局)

第16条 議会は、議会の審査、政策提言等の充実のため、議会事務局の調査及び法務機能の充実を図る。

(議会図書室)

第17条 議会は、議員の調査研究及び能力向上に資するため、議会図書室の充実に努め、その活用を図る。

第6章 議員の政治倫理、身分及び待遇

(議員の政治倫理)

第18条 議員は、選挙によって選ばれた市民の代表であるとともに、議決事項を決定する議会の構成員であることを深く認識し、公正、誠実及び清廉を基本とした厳しい倫理意識に徹して活動しなければならない。

2 議員の政治倫理に関し必要な事項は、別に定める。

(議員定数)

第19条 議員定数は、熊野市議会議員定数条例(平成21年熊野市条例第23号)に定めるところによる。

2 議員定数については、類似自治体の議員定数を比較するとともに、人口、面積、財政力、将来予測等市政の現状を十分考慮するものとする。

3 熊野市議会議員定数条例を改正する議案については、市民の直接請求及び市長が提出する場合を除き、委員会又は議員が明確な改正理由を付して提出するものとする。

(議員報酬)

第20条 議員報酬は、熊野市議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例(平成17年熊野市条例第36号)に定めるところによる。

2 熊野市議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例を改正する議案は、直接請求又は熊野市特別職報酬等審議会の審議を経て市長が提出するものとする。

3 熊野市議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例を改正する議案を法第109条第6項又は法第112条第1項の規定に基づき委員会又は議員が提出する場合においては、類似自治体の議員定数との比較、市政の現状等を十分考慮し、市民の客観的な意見を参考にしながら、明確な改正理由を付して提出するものとする。

(政務活動費)

第21条 議会は、市政に関する調査研究に資するため、政務活動費等について要求することができる。

2 認められた経費については、証拠書類の公表等その透明性を確保する。

第7章 議会基本条例の評価及び見直し

(評価及び見直し)

第22条 議会は、本条例に基づく活動について、必要に応じ評価及び検証を行うものとする。

2 議会は、前項の検証の結果に基づき、本条例の改正が必要であると認めた場合には、その措置を講ずるものとする。

この条例は、平成30年1月1日から施行する。

(令和2年5月13日条例第10号)

この条例は、公布の日から施行する。

熊野市議会基本条例

平成29年12月21日 条例第17号

(令和2年5月13日施行)

体系情報
第2編 議会・選挙・監査/第1章
沿革情報
平成29年12月21日 条例第17号
令和2年5月13日 条例第10号