那智黒石
三重県熊野市の特産と知られる那智黒石は、黒色で細粒、緻密な泥質岩です。
地質的には新第三紀の堆積層で、日本全国各地において同時代の岩盤を見ることができるが、那智黒石ほど黒石で細工しやすい岩質は、他に類を見ないものです。
那智黒石はなぜ黒いか?
那智黒石は、多量の炭素を含んだ水性粘板岩(堆積岩)が噴出溶岩と、接触してできた黒色硅質頁岩がきめこまかいため黒くなります。
那智黒石の歴史
那智黒石が初めて文献に表れるのは「紀伊続風土記(1839)」で、古くから美しく珍しい石として知られていました。
製品としては碁石の材料として出荷されたのが最初で、遺唐使の中国への贈り物の中にある「棋子」は那智黒石ではないかといわれています。(棋子一現在の碁石、古来硯材や試金石として利用されてきたが時代は定かではありません)
藩政の頃一時採取を禁止されていましたが、明治中期に採掘禁止令が解けて硯・文鎮などに利用されてきました。那智黒石を広く売り出したのは明治になってからで、神川町神上の山西徳之助という人が硯を作って売ったのが始まりといわれています。
熊野特産なのになぜ那智黒石?
那智黒石は神上石や神渓石、烏翠石などと呼ばれた時期や、売り出す際に観光地の那智の滝にちなんだという説もありますが、はっきりとは分からないそうです。
那智黒石製品について
天然石は板状に割れる性質があるため、立体的な置物や花器などには加工しにくいものでした。昭和45年頃から那智黒石の粉末成形による置物が作られるようになり、求めやすい価格で色々な物が出来るようになりました。現在では年間生産額の5割を占めています。
碁石について
碁石の黒石といえば那智黒石です。白は蛤の貝で出来ています。
硯について
那智黒石の硯はきめこまかく滑らかなため磨墨に時間がかかりますが、出来た墨は滑らかで文人墨客に喜ばれています。短時間で磨墨したい時や、墨液を使用する場合には粉末成形の硯がよく使われます。
那智黒石の磨き方
那智黒石は丁寧に磨けば磨くほどよく艶が出ます
最初に石の角と石全体を荒目の砥石で磨きます。この作業が丁寧であれば、それだけ最後の仕上がりがきれいになります。二番目の工程はサンドペーパー磨き。まず#150のサンドペーパーで、水をかけながら砥石の傷がなくなるまで丁寧に磨きます。次に#320で、#150の傷が完全になくなるまで磨きます。さらに#600で磨いて、#320の傷を取ります。
仕上げの艶出しは市販のワックスで行います。ワックスをタワシにつけて、一面にのばし乾くのを待って別のタワシで力を込めて磨きます。最後は布(ネル)でふいて出来上がりです。
那智黒石の注文は
熊野那智黒石協同組合 | 熊野市木本町171(事務局:熊野商工会議所) 電話番号:0597-89-3435 FAX番号:0597-89-3436 |
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